2013年01月26日

ビスマス地金と結晶性

まずはこの画像をご覧ください。

bi_ingot_20130101.jpg

見た目がまったく異なる左右の地金、
これが両方とも同じ99.99%(4N)のビスマス地金なのです。
実は右側は結晶性が非常に悪いので避けたいのですが、
仕様の範囲内でのばらつきに過ぎないので、
注文した時の流通状況次第でどちらが来るか判りません。

ここ2年くらいは安定して左側の地金が来ていたのですが、
ついこの間の注文で右側が来てしまいました。
購入元によると、国内大手の精錬会社が出す地金の質が変わったためで、
しばらくは他でも結晶性の悪いビスマス地金が出回るかもしれない、とのこと。

こればかりは気をつけてどうにかなる話ではないので、
今持っている地金を大事に使うしかないかな、と。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

2012年04月24日

ちょっと細かい話

先日のミネラル・ザ・ワールドでは、
沢山の方に訪れていただき有り難うございました。


そこでちょっと気になったのですが、
ビスマスのことを輝蒼鉛鉱と言われる方が居られました。
そのときにも訂正させていただいたのですが、こちらでも念のため。
輝蒼鉛鉱というのはビスマスそのもののことではなく、
ビスマスを含んだ鉱物の一種です。
ビスマスの和名は「蒼鉛」ですので、御注意ください。


もう。一つ。
人工ビスマス結晶を作ってみたという方から
「正しいやり方」を教えて欲しいといわれたのですが、
これはもう人がルールを決めているわけではないので、
正しいとか間違ってるとかそんなもの無いはずです、としか言えないです。
自分もまだ試行錯誤の途上で、
「上手いやり方」にさえたどり着けていないですし。
(一応、今のところのやり方はここにおいてあるPDFを見てください)


そして、こう、偉そうに書いたあとで、
"人口ビスマス結晶"と誤字しているのを見つけて慌てて直すというオチが。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 03:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2011年04月19日

次回の原料

たまには作業工程の一部。
次のときに融かされる運命にある結晶たち。

次回原料


実際のところ表に出すような整った形をした結晶は一部で、
大半の結晶は、容器壁に接する面積が大きかったり、
汚れが付いていたり、取り出すときに壊れたり歪んだりして、
こうしてまた次の原料になる運命。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月18日

御礼20100815(C78)

ビスマス結晶

今回も多くの人に訪れていただき
ありがとうございました。

コミケで配っていたペーパー
MakingBismuthCrystal_1_0_1.pdf

よくある質問と回答はこちら参照
よくあった質問への回答(1)
よくあった質問への回答(2)
よくあった質問への回答(3)
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年08月01日

錫の一歩

塩化スズ調整中
塩化スズちょっとだけ使うけれど試薬買うの面倒だし、
ということで結局作ることにした図。
用途的に溶液で手に入ればいいので、
酸性洗剤という名の希塩酸に、フレーク状にしたスズ片を
浸しているところ。

これでスズ樹とか作る予定。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年05月25日

よくあった質問への回答(3)

ビスマス人工結晶
ということで、まずはMTM05頻出質問編

・ビスマスって何?
→金属元素です。金銀銅鉄鉛などと同列です。
 用途は単体は無鉛半田や低融点合金の成分、
 化合物はパール塗料や医薬品(胃薬・整腸剤)に利用されます。

・石華工廠の読み/意味は?
→読みは"せっかこうしょう"です。
 意味は、石華:結晶、工廠:(軍需)工場です。
 ちょっと改名を検討中。石華工匠とかに。

・加熱にガスバーナーは必須なのか
→必ずしも必要ではありません。
 今回の実演では加熱時間短縮のために使いましたが
 実際は家庭用ガスコンロでもどうにかなるはずです。
 (炊事場で金属を融かすことに抵抗無ければ、ですが)
 また、カセットコンロは利用しないようにしてください。
 カセットボンベが過熱して事故につながる可能性があります。


そのほかの質疑はこちらも参照
よくあった質問への回答(1)
よくあった質問への回答(2)
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月22日

晶癖について

ビスマス

今のやり方で出来るビスマス結晶は
ちょっとずんぐりした感じの結晶が主なのですが、
時々、こんな細長い尖塔のような結晶が生成します。
何かの成長条件(多分、過冷却度)があるようで、
条件がそろうとこんな形のものが同時にいくつも取れたりします。

ちなみに、塔の先端に相当する側が容器についていた方。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年02月04日

錫の結晶

錫の結晶

たまにはビスマス以外の結晶について。
ということで、錫の結晶です。
溶かした錫を静かに冷やすと、表面に樹枝状の結晶が
析出してくることがあり、それを軽く酸洗したのが上の写真。
軟らかくてうまく取り出せず、
地金に埋まったままの状態なのが非常に残念です。

実は、錫は化合物の水溶液から電気化学的に析出させるとことで
もっと派手な結晶が作れたりするので、それはまた次の機会に。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 03:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年11月29日

よくあった質問への回答(2)

ビスマス結晶[拡大]

ということで第二弾
前回はこちら

・反磁性について
→金属の磁性は、強磁性、常磁性、反磁性に分類されます。
 その中でビスマスは全金属中最強の反磁性体です。
 それでも非常に弱いので、ほとんど判りません。
 詳しくはWikipediaの反磁性の項目等参照ください。

・もっと大きいビスマス結晶は作れないのか
→結晶を作る容器を大きくすれば理論上は可能ですが、
 扱う溶融ビスマスの量も増えて危険なので、
 今のやり方の延長ではやりたくないです。

・原料購入について
→個人を相手にしてくれるところが少ない、価格変動が大きい、
 同じ4Nビスマスでも結晶性が悪いものがある、などが課題。
 結晶性はメーカーが保証していないので文句は言えません。
 (結晶性の悪いものに当たると手間が増えます)

・ビスマスの価格
→今回、直前に購入した時には10kgインゴットが4万円程でした。
 価格が安定しない(2倍くらいの変動はよくある)金属ですし、
 流通経路や純度・購入量によっても価格は違いますので、
 もし業者等から購入される場合には、上記金額を参考にせず、
 都度見積もりを取るようにお願いします。

・次回以降参加するのか
→機会があればぜひ。

では、これにて。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年11月25日

よくあった質問への回答(1)

覚えている限り書き出しに挑戦

・毒性は?
→化合物が胃薬や化粧品にも利用されている程で、
 比較的毒性は弱いです。
 これが注目されて鉛の代替として利用される事があります。

・大きな結晶を作るにはどれくらい時間がかかるのか
→結晶するのにかかる時間は数分です。
 加熱する時間を考えても30分くらいです。

・いろいろな色があるが、どういう原理なのか。
→地の色は銀色ですが、
 酸化膜による薄膜干渉によって色がついて見えます。
 このため、酸化膜の厚さによって違う色に見えます。
 以前に書いたこれこれも参照

・このかたちは制御してこうなっているのか
→いいえ。結晶するに任せた結果です。
 過冷却状態からの結晶成長では稜の部分が非常に早く成長し、
 面の部分の成長が追い付かなくなってあのような形になります。

・アクセサリー等に使いたい
→脆くてやわらかいので気を付けて下さい。

・うちでも出来そうだ
→多分出来ると思います。

・この結晶は役に立つのか
→見ていると楽しいです。

・金属関係の仕事をしているのか
→いいえ。下っ端サラリーマンです。


― 続きはまた後ほど。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 01:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年10月18日

容器に注意(+ビスマスの比重の話)

ビスマスを融かしたり冷やしたりする容器は特別な物を使うわけではなく、ステンレス製の台所用品にかなりお世話になっています。
しかしビスマスの密度は水の約10倍くらいあります。台所用品は水や食品に使う事を前提として作られているので、大量に扱うときには取っ手の強度を期待してはいけません。こんな感じのことになります。(冷えている時だったので大事には至りませんでしたが)
取っ手の外れた計量カップ

ちなみに。誤解されがちですが、金属の中では「ビスマスはそれほど密度が大きくない」です。どれくらいかと言うと、金やタングステンの半分くらい、鉛と比較しても1割以上低い値です。確かに原子核の質量数で考えると鉛より重いのですが、金属としては詰まり方に隙間が多いとでも言えばいいのでしょうか。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年10月13日

ビスマス結晶の色のはなし2

グラデーションが分かりやすい結晶

色違いのビスマス結晶


ビスマス結晶のあの色は表面の酸化膜が握っている、というのが前回のはなし。
なぜ、ああいう風に多彩な色になるのか、というのが今回のはなし。
先に言ってしまえば、これは結晶を融液から取り出した後の冷却速度のせいです。

ビスマス結晶の色の原因が酸化膜での光の干渉ならば、重要なのはその厚さ。酸化膜の厚さが変化するのは結晶が高温の間なので、核心は融液から結晶を取り出して冷却する時の冷却速度です。
実際、融液から結晶を取り出して冷やしている間に色合いが金色→赤紫→青紫→青→黄緑→金色→赤紫→青→緑と連続して変化していくのを見ることが出来ます。

小さな結晶(=冷めるのが早い)は色の変化が進む前に冷えてしまうので青紫系の色になりがち。結晶がグラデーションになるのは結晶が端から冷えていった名残です。逆に、冷やす速度を変えることで、ある程度色合いを制御する事も出来ます。ただし、水冷は厳禁です。高温の金属が飛び散ったりするなど、ロクな目に遭いません。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年09月04日

でかぶつ

半月ぐらい前に出来た、現時点で最大な結晶。
差し渡し5cmくらい。左上のざらざらした感じになってる部分は容器の壁にぶつかったところ。もう容器のサイズいっぱいいっぱいなので、これ以上のサイズを狙うには容器からして変えないと。

大型結晶
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 01:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年08月30日

ビスマス結晶の色のはなし

ビスマス結晶の色は表面の酸化物皮膜による干渉色なのです、と書くだけだと説得力が無い気がするので、実際に酸化膜を剥がしたものの写真を乗せてみる。濃い目のクエン酸に浸して適当に放置したのが下の写真。
※ビスマスは酸化力のない酸には溶けないので、クエン酸だと表面の酸化膜だけが除去されます。

ビスマス結晶(酸化膜無し)

見事に銀色。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 12:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年07月28日

目標越え

6月7日の記事で書いた目標サイズを超えた記念。
左がミネラルフェアで購入したドイツ製(前のときとは向きが違う)のビスマス結晶、右が作ったビスマス結晶でサイズは長辺5cm弱。今使ってる容器だと、このサイズが限界。

ビスマス結晶(左がドイツ製)
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 03:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月07日

東京国際ミネラルフェア

昨日、東京国際ミネラルフェアに行って来ました。
ドイツ製の人工ビスマス結晶を見つけたので、目標とすべく購入。
写真のビスマス結晶のうち左がドイツ製、右が自作です。
ひとまわりのサイズ差がなかなか超えられない壁。

ビスマス結晶(左がドイツ製)
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年05月17日

写真(ビスマス結晶)

とりあえずビスマス結晶の写真を撮った(他に何もやってない)。
手元に持ってみるのと写真にするとでは、意外と違う感じになる。
ちなみに、どれも画像の端から端までは3cmくらい

ビスマス結晶1

ビスマス結晶2

ビスマス結晶3

ビスマス結晶4

ビスマス結晶5-1ビスマス結晶5-2

ビスマス結晶6-1ビスマス結晶6-2
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年04月12日

やり方を変えてみた

Bi_200904_1024.jpg
相変わらずビスマスばかり触っているわけですが、去年の年末くらいから作り方の手順を少し変えていて、以前とは色味の違う仕上がりになっています。
コミケは夏も申し込み済みですので、受かっていれば、今までとだいぶ質感の違うビスマス結晶をお見せできそうです。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年01月01日

あけまして

2009_0101.jpg
おめでとうございます。
今年も石華工廠と堀石廉をよろしくお願いいたします。
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 17:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年09月22日

相変わらずビスマス

結晶成長には過冷却度が大事だろうって事で調べてみたところ、こんな資料を見つけた。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002206639/
高純度なものでの実験結果なので、何処まで適用できるかはわからないが、とりあえず過冷却度を上げるためには融点より30度くらいは過熱してやったほうが良いかも知れず。

画像のビスマス結晶は先週の作成。全長25mmほど。
Bi_20080920_1.jpg
posted by 堀石廉 [holyithylene] at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記